COLUMN
発達障害と子育て
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発達障害
発達障害等に関する学びや情報交換の場になることを願って投稿させて頂きます。 今日のトピックは「WISC」についてです。
「発達支援の場でよく聞くWISCって何?」「WISCを受けると何がわかるの?」といった疑問をお持ちではありませんか?
発達特性のある子供の保護者の方に向けて、WISCとはどんな検査なのか、WISCを受ける目的、WISCを受けるには何をすればいいのかを解説します。子供の困りごとへのよりよい対処法をお探しの保護者の方は、この記事でぜひWISCの基礎知識を知ってください。
[TOC]
WISCとは、子供の認知能力を評価するための知能検査の1つです。
WISCがどんな特徴を持つ知能検査か、どんな風に検査が行われるか、WISCを受けるとどんなメリットがあるかについて解説します。
WISCはウェクスラー式知能検査の一つで、子供を対象とした検査です。ウェクスラー式知能検査は、総合IQのほかに4つの下位指標があり、認知能力を多面的に評価可能です。
ウェクスラー式知能検査は対象年齢別に、WPPSI(ウィプシー:2歳6ヶ月~7歳3ヶ月)、WISC(ウィスク:5歳~16歳11ヶ月)、WAIS(ウェイス:16歳~)に分かれます。検査は静かな場所で、検査者と被験者が1対1で行います。時間は60~90分です。
WISCを受ける主な目的は、適切な支援をするために現在の子供の状態を知ることです。
WISCは、同じ年齢の子供のなかでの知的水準がわかるだけでなく、4つの下位指標の比較で、子供の能力のなかでどの能力が高くてどの能力が低いのかがわかります。苦手な分野を知ると、日常生活でのつまづきの原因がわかり、困りごとの対処もしやすくなるでしょう。
得意な分野を知れば、強みを活かした学習方法を考えられます。
WISCは、専門的な知識のある検査者が検査を行うため、WISCを受けたい場合は、専門の施設を探さなければなりません。ここでは、WISCが受けられる施設、WISCに必要な費用について説明します。
WISCは、以下の施設で受けられます。
医療機関 | 主に児童精神科などで実施。医師が必要と判断した場合に、WISCを行うため、必ず受けられるわけではない。 |
自治体の発達支援センター | 必要な公的支援につながりやすいメリットがある。 |
民間の心理相談室 | 比較的予約が取りやすく、受検待ちの期間が短い場合が多い。 |
大学などの心理相談室 | 心理学科のある大学などにある。専門の研究に基づいた助言が受けられる。 |
それぞれのメリットと、予約の取りやすさなどを考慮して、施設を決めましょう。
WISCの費用は、受ける場所により異なります。
医療機関で受ける場合は、WISCは保険適用です。発達支援センターで受ける場合は、WISCの費用はかかりません。
心理相談室でWISCを受ける場合は、各施設の設定する料金がかかります。民間は大体10,000円~20,000円、大学は2,000円~4,000円程度かかる場合が多いです。
WISC-Ⅳは、10種類の下位検査、5つの予備検査を行い、FSIQと4つの下位指標を算出します。
全体指標 | 下位指標 | 下位検査 | 予備検査 |
FSIQ | 言語理解 | 類似、単語、理解 | 知識、語の推理 |
知覚推理 | 積木模様、絵の概念、行列整理 | 絵の完成 | |
ワーキングメモリー | 数唱、語音整列 | 算数 | |
処理速度 | 符号、記号探し | 絵の抹消 |
FSIQと下位指標について説明します。
全検査IQ(FSIQ)は、総合的な認知能力を示す値です。
WISC-ⅣのFSIQは、同年齢の子供のなかでどのくらいの順位にいるかを示しています。一方で、田中ビネー知能検査ⅤなどのIQは実年齢に対し発達年齢がどの程度の割合に達しているかを表しており、IQの表す意味はどの知能検査でも同じとは限りません。
言語理解は、言葉を聞いて理解したり、言葉を使って考えたりする力、言葉の知識をみる指標です。
言語理解が低い場合、先生や友達の話がわからない、自分の気持ちを言葉で説明できないといった困りごとが起こる可能性があります。言語理解の低い子への対策の例として、わかりやすい言葉で短く、はっきりと伝えることが挙げられます。
知覚推理は、目で見た情報を理解したり、目で見た情報をもとに手や身体を動かしたりする力をみる指標です。
知覚推理が低い場合の困りごとの例として、片付けが苦手、探し物を見つけられないなどがあります。片付ける場所に写真を貼るなど、視覚から入る情報をシンプルにわかりやすくするといった対策があります。
ワーキングメモリーは、必要な記憶を一時的に頭のなかにとどめながら作業をすすめる能力をみる指標です。
ワーキングメモリーが低い場合、人の話を覚えられない、授業に集中できないといった困りごとが起こる可能性があります。
対策として、指示をするときはいくつも話さず1つずつ伝える、パーテーションを活用して注意がほかに逸れないようにするなどが挙げられます。
処理速度は、目で見た情報を早く正確に処理する力をみる指標です。
処理速度が低いと、授業での板書に時間がかかるといった困りごとが出る場合があります。処理速度が低い場合は、視覚的な情報を処理するのに時間がかかるため、板書の時間を長めにとったり、板書が少なくて済む形式の授業にしたり配慮が必要になるケースがあります。
WISC-Ⅳの次の版であるWISC-Ⅴの日本語版が、2022年2月に発売されました。現在はWISC-Ⅳが多く行われていますが、今後はWISC-Ⅴでの検査が増えていくと考えられます。
WISC-Ⅴでは、WISC-Ⅳにおける知覚推理が、視空間推理と流動性推理指標に分かれ、下位指標が5つになる点が大きな変更といえます。
本記事では、WISCの検査内容、受けられる施設、必要な費用、WISCの指標の意味について説明しました。
WISC-Ⅳは、総合IQに加えて4つの下位指標があり、下位指標ごとの数値の比較によって子供の得意不得意がわかるのが特徴です。信頼できる専門家のもとでWISCを受け、支援の場などで十分に活用しましょう。
【Q&A】
Q.WISCはいつ受ければいい?
A.主治医や担当の心理士が必要と判断したときに受けましょう。
WISCをはじめとした知能検査は、期間をおかずに同じ知能検査を再受検すると、問題を覚えているために正しい結果が得られないおそれがあります。一度WISCを受けたら再受検までに少なくとも1年は期間をあけましょう。
Q.WISCを受ける際に、何か対策はできる?
A.WISCを受ける目的は、家庭での適切な関わり、学校や療育の場での適切な支援をするために子供の得意不得意を知ることです。
現在の子供のそのままの状態を知るのが大切なため、WISCを受ける前に準備として何かをする必要はまったくありません。
WISCと同じような問題を受検前に解いてしまうと、WISCで正確な結果を得られません。その結果、支援計画などに影響し適切な支援を受けられなくなり、子供や家族に多大な不利益が及ぶおそれがあります。類題を解くような検査対策だけはしないようにしましょう。
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